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リアクション
■切り開け、大世界樹への道・2
もちろん、他の契約者たちも負けてはいない。
凰歌・オピーオーン(おうか・おぴーおーん)は、
雷術、氷術、サイコキネシスなどを主体とし、
遠距離から大蟲を攻撃していた。
火術の使用は、世界樹への影響をかんがみて、
火が燃え移らないように細心の注意を払う。
「アーラ、長期戦を想定して、回復を想定するんだよ」
「了解。残弾数は常にカウントし、必要以上の使用を行わない」
ァーラフェヴゥル・ェクザーディウュス(あーらふぇゔーる・えくざーでぃうゅす)が、
機械的に返答して、
スプレーショットを放つ。
また、凰歌は、大蟲の死骸の回収や、
死んだ世界樹の一部を持ち帰り、
解析を行おうと考えていた。
佐々木 弥十郎(ささき・やじゅうろう)も、
大蟲のサンプルを捕獲したいと考えていた。
「何匹かサンプル欲しいねぇ。
え? 料理に使う訳じゃないよ」
料理人である弥十郎}は、
怪訝な顔をしている、仁科 響(にしな・ひびき)に、
笑って、そう答えた。
「仁科、蟲たちはもしかしたら音で連携を取っているのかもしれないねぇ」
「たしかに、試してみる価値はありそうだな」
響は、深呼吸すると、
叫びによって、大蟲を攻撃することにする。
「貴公らを揺さぶるボイス聞かせてみせる。蟲達よ。存分に聞くがいい」
大蟲たちが身もだえして、動きを鈍らせていく。
そこに、
レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)が
則天去私を叩き込む。
大蟲の群れが地面に叩きつけられた。
動かなくなった大蟲を、凰歌や弥十郎が、回収していく。
その横を、ウゲン・カイラス(うげん・かいらす)が走っていく。
「昆虫採集? まあがんばって」
小馬鹿にするような物言いをするウゲンに、レキが言う。
「ウゲンさん、ボクは過ぎた事は気にしないたちなんだ。
協力して戦おう!」
「ふうん。ま、気が向いたら『遊んで』やるよ」
「そんなことより、ウゲン……
ギフトにブライドオブシリーズをぶっ刺すって……どこに?」
薔薇的な理由が気になっている
ミア・マハ(みあ・まは)が、ウゲンを見てつぶやく。
「前回は敵だったから君に拳を思いっきり入れちゃったねぇ。
その分今日は君がギフトにぶっ刺しちゃって」
弥十郎が、気にしない様子で、ウゲンに言う。
「あ、いや、具体的な説明はここで答えなくてもよいぞ。
レキには聞かせられないからな!」
「ミア、何の話してるの?」
「そんなことより、世界樹が傷を負っておるぞ。
ほれ、回復じゃ!」
ミアが強引に話を逸らして命のうねりで世界樹を回復させる。
「まったく、何考えてるんだろうね?」
ウゲンが、ケラケラと笑いながら言った。
「そいつは、こっちのセリフだぜ、ウゲン」
白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)が、
ゴッドスピードで接近し、昂狂剣ブールダルギルで、大蟲をなぎ倒しながら、
ウゲンに声をかけた。
「世界をぶっ壊そうとした奴がどういう風の吹き回しだ?」
「世界が壊れるのは僕の望むところだけど――踊らされたままってのは気に食わない。
“俺”を踏み台扱いした野郎に一泡吹かすのは、刑務所の地下で欠伸してるよりマシな時間の使い方だと思っただけさ」
「あ? 意味がわかんねぇぞ、コラ」
竜造が食い下がるが、
「それに、ニルヴァーナに居れば『あいつ』は来る。これは確信だよ」
それだけ言って、ウゲンは去ってしまった。
「チッ、いけすかねえな。
しょうがねえ。
インテグラルの代わりにもならねえが、
こいつらまとめてぶち殺してやるか」
そう言う竜造のパートナーの松岡 徹雄(まつおか・てつお)は、
無言で疾風迅雷や分身の術で、
大蟲を翻弄し、
影縫いのクナイや奈落の鉄鎖で動きを止めて、
さざれ石の短刀で大蟲を石化させる。
「身体組成は通常の生物とそう変わらないようだな」
凰歌が、大蟲のサンプルを採取しながら、つぶやいた。
「でも、もしかしたら、世界樹の養分を吸い取っているわけだし、
その蟲は特別な薬効成分とかありそうだね。
他の作物に影響も出ないように、防虫薬も作れるといいなあ」
弥十郎も、協力して、大蟲の死骸を回収する。
「かかってくるなら世界樹だろうと容赦しねえぜ。
向かってくる奴が悪いんだよ!」
竜造の威圧的な雰囲気に、世界樹たちは、またもやや混乱したようだった。
一方、
杠 桐悟(ゆずりは・とうご)は。
「1匹見つければ30は居る、か。
まるで、最終最強生物『G』だな。
視覚的にも精神的にも優しくないのでな、
早々に駆逐殲滅するとしようか」
光条兵器や爆炎波などで、大蟲を攻撃していた。
「数は多いですが、無限ではないでしょう。
ならば、出て来る物ことごとくを潰せば、
終わりはみえて来るでしょう」
朝霞 奏(あさか・かなで)もうなずき、
すぐ後ろで、ヒールや治療で支援を行う。
シャノン・エルクストン(しゃのん・えるくすとん)も、
命のうねりなどで、仲間の支援を行う。
「ゼノビアさん。大蟲の対処お願いします!
こちらは少し動けそうにありません!」
ゼノビア・バト・ザッバイ(ぜのびあ・ばとざっばい)はうなずくと、
サイドワインダーを放つ。
「大蟲か。きっと強いんでしょうね。
ただ、キミじゃ、シャノンに触れるには力不足なの。
だから、そこで貼り付けになっていてくださいね」
ゼノビアの言葉通り、大蟲が地に倒れ、動きを封じられる。
「シュウウウッ」
大蟲の悲鳴とも威嚇音ともとれぬ不気味な声が、響いた。
「孤立すれば、袋叩きにあってしまう。
背中を預けさせてもらうぞ」
桐悟が、ゼノビアに呼びかける。
「もちろんです。
外皮が厚くたって、隙間を狙い撃ちすれば……!」
ふたたび、サイドワインダーが、
大蟲の攻殻の隙間を貫き、緑色の体液が噴出した。
「気色悪さも『G』以上か……」
桐悟は嘆息して、
刀身80cm前後の直刀型の光条兵器を握りしめた。
「やめてください!」
竜造の攻撃した世界樹に、シャノンが命のうねりを使う。
世界樹は、動きを止め、契約者たちの相反する行動に混乱しているようだった。
「私たちは、困っている人(?)を助けに来たの!
だから、バタバタ騒いで、余計な被害を増やすのはやめて!
私たちの共通の敵は、大蟲のはずでしょ!?」
ルゥ・ムーンナル(るぅ・むーんなる)が、
努めて、冷静に世界樹を説得しようとする。
しかし、やはり、怒りは表に出てしまう。
「うう、有利に戦うには空中にいた方がいいけど、やっぱり怖いです……」
メルティナ・バーンブレス(めるてぃな・ばーんぶれす)が、
涙目になりつつ、ルゥのサポートで戦う。
メルティナは、ヴァルキリーなのに、高所恐怖症なのだ。
「でも、空中にいれば、大蟲もそんなに来ないですよね……。
ああ、でもでも、高いところは……」
メルティナがジレンマに苦しむ。
「私たちは世界樹を助けたいんだから、
攻撃するのはやめてよ!」
ルゥの怒りは、竜造にも向けられる。
「うるせえな。殴りかかってきた奴を殴り返すのは当然だろうが! 殺すぞ!?」
しかし、竜造は話を聞こうとはしない。
「……っ」
ルゥは唇をかみしめる。
今の自分の実力では、竜造を無理やり止めることはできないだろう。
「とにかく、先に、大蟲を倒してしまえばいいんだ。
一緒にがんばろう」
桐悟の言葉に、
ルゥはうなずいた。
「うん。私は諦めないよ!」
「少し休憩します……」
回復魔法を連発していたシャノンが、
ザンスカールバーガーとめいりんバーガーをひろげてかぶりつく。
シャノンは、ジャンクフードをこよなく愛しているのだ。
「ここで食事って、すごい度胸だね……」
レキが、シャノンに攻撃が向かわないように大蟲から守りながらつぶやく。
このように、連携を取って、大蟲の群れに対する一行であったが、
たまには世界樹からの攻撃も受けてしまう。
世界樹の枝が、容赦なく、契約者達を打ち据える。
まだ若木とはいえ、巨大な世界樹だ。
その一撃を喰らえば、身体は宙に浮き、地面に叩きつけられる。
「だから、助けるって言ってるのに……!」
ルゥは、内心、怒りながらも、世界樹のために説得を続けた。
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