空京

校長室

創世の絆第二部 第一回

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創世の絆第二部 第一回

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■ギフトの強化方法

カシス・リリット(かしす・りりっと)は、
物陰からウゲンの監視を行っていた。
(万一、ギフトとブライドオブシリーズの融合に失敗したら、
暴走するかもしれない。
その時はすぐに取り押さえられるように距離を保っておかないとね)
ギフトにブライドオブシリーズを刺すという計画に興味を持ちつつも、
カシスは警戒を怠らない。
パートナーのヴァイス・カーレット(う゛ぁいす・かーれっと)も、
カシスとともに、ウゲンを見張りつつ、
カシスの護衛を行っていた。
もっとも、ウゲンに襲い掛かってくるような大蟲や世界樹は、
のこらずなぎ倒されていってしまったので、
戦闘する必要もなかったのだが。

「あ、あれって……」
カシスは、前方の騒ぎを発見する。
そこでは、ギフトとともに、
土方 伊織(ひじかた・いおり)
サー ベディヴィエール(さー・べでぃう゛ぃえーる)と、
董 蓮華(ただす・れんげ)
スティンガー・ホーク(すてぃんがー・ほーく)たちが戦っていた。

「はわわ、大世界樹さんが大変なのです。
無理やり契約なんてひどすぎるのですよ。
ちゃんと、お互いが必要だと思えなくっちゃ、契約なんてしちゃダメなのです。
ギフトさん、一緒に世界樹さんたちをたすけてほしいのですよ」
伊織の要請にこたえて、
狼型ギフトや猫型ギフトが、大蟲に飛び掛かり、
ペンギン型ギフトはお腹で滑って突撃していた。

「契約とは神聖不可侵な誓約ですから、
この様な方法を使うとは程度が知れるというものです」
憤りつつ、ベディヴィエールも、ともに戦う。
狼型ギフトが、変形し、剣となって、ベディヴィエールの手の中に納まる。
『我を用いるがよい。異界の騎士よ』
「ベディさん、やっちゃってくださいなのですよ!」
「はい、お嬢様!」
伊織にうなずくと、ベディヴィエールは狼型ギフトの剣を振るう。

「鳥型ギフト、お願い!」
蓮華の声にこたえるように、
鳥型ギフトは大蟲をついばみ、食べる。
「頼もしいわ!
一緒に森を守りましょう!」
鳳凰の拳で大蟲を叩きのめしながら、蓮華が言った。
「これでもくらえ!」
スティンガーが、スプレーショットで弾幕を張り、後方から援護する。
ラスターハンドガンの設定は、大蟲だけとなっており、
狙いをつけるのは難しくなっていたものの、
世界樹を傷つけることはなかった。

「この作戦は国軍……つまり団長の指示によるもの
頑張る! 団長のためにも私は頑張るわ!!」
蓮華は、そう叫んで、さらに拳を叩き込んだ。


「ギフトども、こんなところにいたのか」
そこに現れたウゲンが、ニヤニヤしながら、
ブライドオブブレイドを持って接近する。
そこに、
蛇型ギフトがあらわれ、ウゲンの進路をふさぐ。
「おう、ウゲン、てめえ、オレらにケンカ売ろうってそうじゃねえか!」

ザウザリアス・ラジャマハール(ざうざりあす・らじゃまはーる)が、
三賢者は怪しい噂のあるグランツ教の関係者ではないかと考えて、
蛇型ギフトにテレパシーでウゲン一味がギフトを狙っている事を伝えていたのだ。
ザウザリアスは、蛇型ギフトを匿うつもりであった。
パートナーのニコライ・グリンカ(にこらい・ぐりんか)も、
ウゲン達のやる事には裏がありそうな気がするので
全てのギフトにブライドオブシリーズに刺すのは危険だと考えていた。
また、蛇は執念深いと言われる反面、恩返しの昔話も多くあることと、
来年は巳年なので、助ければ何かよい事があるのではとも考えていたのだ。

しかし、蛇型ギフトはケンカ好きな性格だったために、
かえって、ウゲンと戦おうとやってきたのだった。
「なんだか、考えていたのとは違う展開になったけれど、
蛇型ギフトをウゲンから守らないとね」
「ああ、できれば、パートナー契約もできるようにな」
ザウザリアスの言葉に、ニコライがうなずく。

「てめえ、調子乗ってるとぶっ殺すぞ!」
「君、誰に口きいてるの?」
蛇型ギフトが襲い掛かった次の瞬間、
ウゲンは常人には見ることもできないスピードで、
手刀を繰りだし、蛇型ギフトを地面へと叩きつけていた。

「な……」
蛇型ギフトも、何が起こったのか理解できない様子で、
しかし、動くことはできずにいた。
「君にぶっ刺してもいいんだけど、
細長いし、面倒そうだからね」
ウゲンは蛇型ギフトに背を向ける。

契約者たちは、改めて、ウゲンの恐ろしさを実感していた。

「待ちなさい、ウゲン!」
ウゲンを監視していた、
シャーロット・モリアーティ(しゃーろっと・もりあーてぃ)が飛び出し、
ブライドオブブレイドを奪おうとする。
「私の愛する人が、
再び命を賭するようなこと……それを避けるためにも、
あなたのたくらみは阻止してみせます!」
「シャーロットの言うとおりです」
スマートフォン型の魔道書グリム童話 『白雪姫』(ぐりむどうわ・しらゆきひめ)も、
インバネスコートのポケットに入ったままで言う。

「まあ、待て!
ウゲンの話も聞いてみようじゃねえか!」
そこに、
シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)が、
割って入ってきた。
「よぅ、ウゲン!
……っても覚えてねぇか?
空中ドックじゃひでぇめに合わせてくれやがって!」
「いちいち覚えてないね」
「いい度胸だ。
だが今はオレがお前の先生だ。
学園の規則に従わねぇなら、神だろうが超霊だろうがぶっ飛ばすからな!」
シリウスは、ニルヴァーナ創世学園の初等部の教員として、
ウゲンを教え導こうとしていたのだ。
「ウゲン……あなたがティセラお姉さまや女王にしたことを
忘れたわけではありませんわ。
けれど、あなたが出所してきたということは罪を償った、
償おうとしているということと信じますから」
リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)も、パートナーに続いて言う。

「ですが、ウゲンは、何を考えているかわからないんですよ?」
「……オレはコイツの先生だ。生徒が先生を信じないでどうする?」
「ですが……」
「それにそういう信じる人が今のウゲンには必要だと思うんだ……」
シャーロットは、シリウスの真剣な瞳に、
言葉に詰まる。

「ああ、たしかに、ウゲンは少しだけ前と変わった気がする。
気のせいであろうか?」
姫神 司(ひめがみ・つかさ)も、
そう言って、首をかしげる。
「それに、
涅槃の大賢者のアイデアや、
ブライドオブシリーズとギフト達の行く末が気になるのでな」
(司、好奇心が勝ってるだけなような気もしますが……)
パートナーのグレッグ・マーセラス(ぐれっぐ・まーせらす)は、
そう思いつつも、状況を見守った。

「どうだろう、試してみるというのは。
世界樹を救う力になるかもしれない」
司も、ブライドオブシリーズを、刺してみてはどうかと言う。

一行が、
そうして、話していると。

【涅槃の大賢者】リリ・スノーウォーカー(りり・すのーうぉーかー)と、
ララ・サーズデイ(らら・さーずでい)が、
鳥人型ギフトを捕まえて連れてくる。

「こいつにブライドオブパイクをぶっ刺すのだよ!」
「やめんかーい!」
「ええい、暴れるな。
これは壮大な実験なのだよ。
大丈夫。痛いのは最初……から最後までなのだよ」
「わー!
もしかして以前、ずぶぬれにしたの根に持ってるであろう!?」
「それもある」
「ぎゃー!」
「だれか、鳥人型ギフトを取り押さえてくれ!」
リリとララを必死に振りほどこうと、鳥人型ギフトが大暴れする。

「つまり、ギフトは全員、カレーにすべきなのデース!」
アーサー・レイス(あーさー・れいす)が、
カレー粉を手に宣言する。
「ブライドオブシリーズにカレー粉をまぶして、
突き刺さったギフトを全て体内からカレー風味してやるのデース。
そうすればギフトを煮込むだけで簡単にカレーの出来上がりデース」
「だいたい、ギフトは態度がおかしい奴が多いのよ。
食卓に乗って食べられちゃいなさい!」
日堂 真宵(にちどう・まよい)が、苛立ちから、
パートナーのアーサーをサポートする。

「多分カレー粉を塗るほうが成功率があがるわ、
何しろカレーは色んな物を相性を超越して一つに出来るスパイスだもの。
人類の導き出した最大の知恵の一つよ」
真宵が、わけのわからない発言で、ウゲンを言いくるめようとする。

「鳥型ギフトはチキンカレーになりなサーイ!」
「かわいそうでしょ!」
蓮華が、鳥型ギフトをかばう。

「じゃあ。そっちの鳥でもいいデース」
「な、何を言っているのかね!?
やめんかーい!
放せー!」
アーサーの狙いは、鳥人型ギフトに移った。

「なるほど、カレー粉か。
可能性はすべて試してみるべきだよな」
ブライドオブヴァラーウォンドを持った、
如月 正悟(きさらぎ・しょうご)が、
やけに真面目な表情で言う。
「今後ニルヴァーナの開拓をするにしても、
インテグラルの対応を考えるにしても……。
どうするにしても一手が足りないような気もするしな」

「ブライトシリーズをギフトと合体させるとか……物理的に可能なの?
……不安だわ、不安でしかたないわ」
エミリア・パージカル(えみりあ・ぱーじかる)が、頭痛をこらえながら、
正悟の様子を見守る。
(でもあれね、マジメな顔して馬鹿なことを真剣に取り組むと
ホントとんでもないことにしかならないのよね、普通は)

「とってもいやな予感がするのであーる!
我輩は逃げさせてもらう!」
「あっ!」
リリとララから逃れた鳥人型ギフトだが、
すぐにウゲンと三賢者に捕まってしまった。

「まあ、待てよ。
僕は、面白い事をする奴の味方なんだ」
『【涅槃の大賢者】様のもたらした策を今こそ実行するときです』
「な、何しようとしてやがるんかーい!?」

「さぁ、しりを出せ!
容赦なくグサッっと一思いに刺してやるから!」
アーサーにより、カレー粉を大量にまぶされた、
ブライドオブヴァラーウォンドを、
正悟が鳥人型ギフトの尻に思いっきりぶっ刺す。



「アッーーーーーーーーーーーーーーーー!?」