空京

校長室

選択の絆 第二回

リアクション公開中!

選択の絆 第二回

リアクション


玉座の間への道を切り開け! 1

旧シャンバラ宮殿の内部を進む、
西シャンバラ代王の
高根沢 理子(たかねざわ・りこ)と、
東シャンバラ代王の
セレスティアーナ・アジュア(せれすてぃあーな・あじゅあ)
そして、理子のパートナーのジークリンデ・ウェルザング(じーくりんで・うぇるざんぐ)と、
その妹である、ネフェルティティ
その行く手を、アールキングの根が阻んでいた。

「ここは、ボクたちに任せてくださいです!」
【東シャンバラ・ロイヤルガード】のヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)が、
ネフェルティティを気づかいつつ、
魔剣ディルヴィングを振るう。
(ネフェルティティおねえちゃん、
アイシャおねえちゃんみたいに大変なことにならないのかな)
戴冠式への不安はあるが、まずは、ネフェルティティたちに無理をさせないようにしたい。
ヴァーナーはそう願っていた。
「ネフェルティティ様、ここは私たちが切り開きますわ」
セツカ・グラフトン(せつか・ぐらふとん)も、
パートナーのヴァーナーの補佐をして、アールキングの根に魔法で対処する。

「ありがとうございます、皆さん」
礼を言うネフェルティティに、ヴァーナーが笑顔を向ける。
「ボクたちはだいじょうぶなんです!
それより、ネフェルティティおねえちゃんが無事に戴冠式をできるようにするですよ」

「うん、それが私たち、ロイヤルガードの仕事だもんね!」
同じく、【東シャンバラ・ロイヤルガード】の、秋月 葵(あきづき・あおい)が言い、
パートナーのフォン・ユンツト著 『無銘祭祀書』(ゆんつとちょ・むめいさいししょ)もうなずいた。

葵が、セレスティアーナに向かってきた根に向かって、
シューティングスターを仕掛ける。
「ありがとう、助かったぞ!」
「どういたしまして。
まぁ、私はセレスティアーナちゃん付きのロイヤルガードみたいなものだし〜
何処までもお守りしちゃうよ♪」
セレスティアーナに礼を言われ、葵が笑顔を返す。
(セレスティアーナちゃんが推薦する、
ネフェルティティちゃんだもん、きっと大丈夫!
アイシャ女王が崩御しないためにも、
シャンバラの守護が失われないためにも、
戴冠式を成功させなくちゃ!)
「さーちあんどですとろい!」
葵は、アールキングの根を潜り抜けて現れた魔物に、魔法を放ったのだった。

「皆、頑張ってくれてるんだもん、
あたしたちも、戴冠式のため、がんばりましょう!」
「ああ、それが、私たちの務めだな!」
「ええ、皆さん、ありがとうございます!」
「私も、あなたのことを全力で補佐します」
理子とセレスティアーナの言葉に、ネフェルティティが頷き、
ジークリンデも、強く同意した。

宮殿の中は、
アールキングの根はもちろん、
跋扈する魔物の群れも次々に襲い掛かってくる。
「ジークリンデたちには指一本、爪一本触れさせねえぞ!」
ヤジロ アイリ(やじろ・あいり)が、
モンキーアヴァターラ・レガースで、宮殿の壁を走って縦横無尽に攻撃を仕掛ける。
「行けえ、燃え尽きろ!」
紅蓮の走り手の炎により、
アールキングの根や、魔物の群れが焼かれる。

「ジークリンデ様とネフェルティティ様の護衛とは身に余る光栄っ!
シャンバラの民、いえ騎士として必ずやお守りいたします!」
ネイジャス・ジャスティー(ねいじゃす・じゃすてぃー)も、
【シャンバラ女王に仕える者】として、
全力で、かつてのアムリアナ・シュヴァーラ……ジークリンデの役に立ちたいと思っていた。
(今のジークリンデ様は、かつてのアムリアナ様とは違うのかもしれません。
それでも……!)

ディフェンスシフトで、敵の攻撃をその身を盾に防ぎ、
ランスバレストで吹き飛ばす。
「邪魔は、させませんっ!」
ネイジャスは、古王国騎士末裔の矜持にかけ、
ジークリンデたちを守護していた。

(アルティメットクイーンが女王に相応しいとは思えない。
ネフェルティティ様に女王の力を!)
瑞江 響(みずえ・ひびき)も、
パートナーとともに、魔物の対処を行う。
「理子様たちに近づく者は許さない!」
【薔薇の古武士】と呼ばれる響は、
疾風迅雷で敵を攪乱し、
パートナーのアイザック・スコット(あいざっく・すこっと)の邪魔をさせないようにする。
アイザックは、響や味方にパワーブレスをして、
アールキングの根を攻撃する。
「俺様の魔法を喰らえ!」
ブリザードで凍りつかせたアールキングの根を、
ファイアストームで熱する。
その時、
「くっ!」
「響!?」
魔物の群れを牽制していた響が、
数で圧倒する的に取り囲まれてしまう。
「俺のことはいい、それより、アールキングの根に集中しろ!」
「くっ、わかった!」
アイザックは、パートナーの言葉を信じて、
天のいかづちで、数度の攻撃でもろくなったアールキングの根を破壊する。

「大丈夫か、今、加勢するぜ!」
アイリとネイジャスが、
ピンチに陥っていた響を助ける。
「すまない、助かった」
「ああ、こんな時はお互い様だ」
響が武人らしく礼儀正しくいい、
アイリがにっと笑ってみせる。

祥子・リーブラ(さちこ・りーぶら)は、
禁杖パルマコンを構えて、
アールキングの根に対する。
(かつて、アールキングを封じるために生み出され使われた杖……。
私に扱いきれるかどうかわからないけれど……)
禁じられた言葉で魔力を増幅し、
ヴォルテックファイアをアールキングの根に放つ。
「燃え尽きなさい!」
すさまじい炎が噴き上がり、宮殿の天井まで覆い尽くす。
アールキングの根が、身もだえしてジタバタと暴れる。

一方、祥子は、禁杖パルマコンの反動で、ダメージを受け、
口元から一筋の血を流していた。

「ジークリンデ様、ネフェルティティ様。
どうか、この国を、パラミタをお救いください……」

パートナーのヴェロニカ・バルトリ(べろにか・ばるとり)は、
祥子の行動を無駄にしないためにも、
一心にアールキングの根を打ち払う。
飛んで行った魔槍スカーレットディアブロで、アールキングの根が突き刺され、
排除されていく。

【女王の騎士】である、ヴェロニカは、
古王国時代の騎士であり、かつて、アムリアナに仕えていたことがある。
しかし、ジークリンデが当時の記憶を失っていることは理解している。
それでも、ヴェロニカを感傷が襲ったのは、
最初に合流した少しの間だけで、
一礼した後は、目の前の戦いへと集中していた。

ロイヤルガードたちや、代王、女王を愛する者たちの奮戦により、
確実に、一行は、玉座の間へと近づいていったのだった。