空京

校長室

選択の絆 第二回

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選択の絆 第二回

リアクション


戴冠式 1

そのころ、理子やセレスティアーナ、ジークリンデ、ネフェルティティたちとともに、
玉座の間に向かっていた契約者たちは。

「はい、次代の女王の進む道はこっちだよ〜」
南條 託(なんじょう・たく)が、
アールキングの根を切り裂き、ネフェルティティたちの道を作る。
「そこをどけえええええ!」
那由他 行人(なゆた・ゆきと)も、
パートナーの託とともに、協力して魔物を倒す。

託にとっては、世界が安定するのなら、女王がどちらになってもいい。
けれども、今は、ネフェルティティのために道を拓いていた。
「僕はまだ、どちらがなるべきかなんてわからないから、
もし君がふさわしいなら、この先でそれを証明して欲しいんだ」
「ありがとうございます。
私にできることをすることで、皆さんに応えたいと思います」
決意を帯びた瞳で、ネフェルティティは言った。
「がんばれ! 君ならできるよ!」
行人が、ネフェルティティを勇気づけるように言う。
「はい、ありがとうございます」
(ネフェルティティは、
今はそんなにすごい感じはしない……だけど、
きっとこれから女王としてすごくなると思うんだ)
ヒーロー見習い「ブレイブセイバー」を名乗る、行人にとって、
これから女王になろうとする、ネフェルティティには、
どこか、親近感を覚えるところがある。

「僕たちは、大切な人を守るために、
世界に存続してほしいと思ってる。
だから、それを、君には叶えてほしい」
託は、そう、ネフェルティティへと伝えると、
再び魔物へと立ち向かい、ゴッドスピードでの一撃を放った。

「まぁ正直さー、戴冠式とかぶっちゃけ全く興味ないんだよねー。
だって私単なるバーテンダーよ?
そんなん知らない知らない」
酒人立 真衣兎(さこだて・まいと)が、
軽いノリで言った。
「でもね、どっちがいいかよくわからないからこそ、
せっかくだから私は面白そうな選択肢を選ぶぜ!」
アールキングの根をサバイバルナイフで切り開き、
真衣兎は、進路を作っていった。

「全くもう、真衣兎も適当な事言って……」
パートナーのレオカディア・グリース(れおかでぃあ・ぐりーす)は、
そうは言いつつも、パートナーのことは信頼していた。
実際には考えがあるはずだと。
「燃えてください!」
火術で、アールキングの根を、焼き払い、
真衣兎とともに、道を築く。

「ラブアンドピースよ。
美味しいお酒が飲めないような世の中になってくれたら困るもの」
バーテンダーである自分には、
だからこそ、貫きたいこともある。
真衣兎は、レオカディアとともに、
自分たちにできることをしようと思っていた。

(エリュシオンでの新帝の一件で判明した
グランツ教とアールキングとの繋がり。
そんなヤツらのトップに未来を託すわけにはいかない)
桐ヶ谷 煉(きりがや・れん)は、
アールキングの根の前で、
厳しい表情をしていた。
「羅刹解刀!
神焔刀『劫火』!」
煉は、玉座に迫りつつある今、一気に道を切り開くため、
黒焔刀『業火』の真名を呼び、力を解放する。
漆黒の炎が刀身全てを覆い尽くし、激しい斬撃が放たれる。

一方、
エリス・クロフォード(えりす・くろふぉーど)は、
サクロサンクトによって、ネフェルティティたちを、敵の攻撃から防いでいた。
「ネフェルティティさん、皆さん。
必ず、玉座の間まで送り届けるから。
戴冠式を無事、成功させるまで守ってみせる。だから安心して」
エリスは、全力で攻撃する、パートナーの後ろ姿を見守りつつ、
ネフェルティティたちを気づかった。
自分が、ネフェルティティたちを護衛することで、
煉が、全力で戦うことができる、そう信じて。

羅刹解刀の一撃により、
アールキングの根が弾き飛ばされ、
宮殿の廊下に通り道が作られる。

「今だ、一気に走り抜けろ!」
煉に呼びかけられ、一同は、廊下を走っていく。

「カルト宗教にシャンバラを乗っ取られるなんて、それありえないわよ!」
綾原 さゆみ(あやはら・さゆみ)は、
まだ残っていた魔物の群れに、
【シュヴァルツ】【ヴァイス】の銃撃を浴びせる。
「アルティメットクイーンなんかに戴冠式をさせないわ!
そこをどきなさい!」
さゆみは、どんなに不利になっても、けしてあきらめない覚悟があった。
必ず、ネフェルティティを玉座の間に送り届ける、そう、決意していた。

「ここで退くわけにはまいりませんわ」
アデリーヌ・シャントルイユ(あでりーぬ・しゃんとるいゆ)も、
天のいかづちなどの魔法で、
魔物の群れを撃退し、
玉座への道を築いていく。
(さゆみを失わないためにも、
ここで、負けるわけにはいきませんわ)
大切な相手である、パートナーへの想いが、
アデリーヌを勇気づけた。

「思ったより、敵の攻撃が弱まってきたみたいね」
「ええ、ですが、油断は禁物ですわ」
さゆみと、アデリーヌが、
お互いを気づかいつつ、言う。

実際に、アールキングの根が、
最初のころよりも弱まってきているようだった。
ジークリンデやネフェルティティを護衛する一行が、
がんばっているのもあるが、
エメネアを救出しようと、別働隊が動いているため、
アールキングの意識が持って行かれているということもあるのだった。

一行は、このチャンスを逃さないよう、
玉座の間への道を急いだ。