空京

校長室

【ザナドゥ魔戦記】魔族侵攻、戦記最初の1ページ

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【ザナドゥ魔戦記】魔族侵攻、戦記最初の1ページ

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 遙か昔……。
 生物は進化を続け、陸、海、空、それぞれに独自の文明を築いた。

 その内数々の国家が生まれ、やがて国家同士の衝突が起こり、勝者は敗者を従え、敗者は勝者に従わされる。
 しかし幾時も経たず、敗者は勝者に逆らい、勝者だった者が敗者になり、かつての敗者に従わされる。

 そんな果てのない戦いを繰り返して、疲弊した生物は一つの結論に至る。
 皆が平等だからこそ戦いが起きるのだと。ならば、下等な存在を作ればいいと。


 そして、ある種の生物は地下に追いやられ、過酷な環境下でただ生きることだけを求められた。
 元々強靭な生命力を持っていた彼らは、自身を追いやった者たちを憎み、いつか地上に復讐することを誓いながら、生き延びるためにやはり独自の文明を築き、自らを環境に適応させていった。


 それから幾星霜……。
 彼らには『魔族』という名が与えられ、そして彼らは『ザナドゥ』という国家を作り上げた。

 その間地上は、地球という異文化との交流や一王国の崩壊によって、劇的な変化を遂げていた。
 変化は魔族にも等しく訪れ、既に地上への憧れや憎しみを忘れた者もいれば、普通に地上で暮らすことを求めた者もいた。
 『魔族は忌み嫌うもの』という感情が消えたわけではなかったが、それでも昔よりはずっと、彼らを取り巻く環境は恵まれていた。
 少なくとも地下で暮らし続ける分には、安泰といっても良かった。

●ザナドゥ:ベルゼビュート城

「お久し振りです」

 トン、と足を着けた女性へ、時の魔王、パイモンが膝を着き、頭を垂れる。

「うむ。……不思議なものだ、このような形で我が顕現を果たすとはな。
 これも、我がお前と関係を持ったからこそ……いや、だからこそ我はクリフォトに封じられ、ザナドゥは地上への顕現の機会を失ったのだがな」

 自身の手を見つめながら呟いた女性が、パイモンに立て、と命じる。
 二人の頭が並び、同じ赤色の瞳に互いの姿が映り合う。

「……行こうか」
「はい」

 二人の周囲には、いつの間にか現れた四つの影。
 魔王の信頼を受ける、魔族を束ねる将『四魔将』へ、パイモンは出撃を命じる――。


 ……しかし彼らは、安寧を捨て、地上に戦いを呼び起こす。
 何故? 理由は色々とつけられる。けれどもそのどれも、決定的な理由足りえない。

 それでも、一つの理由を挙げるとするなら。


『生物は生きている限り、戦い続ける“いきもの”だから』



『魔族侵攻、戦記最初の1ページ』


 
 1ページ プロローグ

 2ページ〜4ページ 世界樹イルミンスール、エリザベート
 5ページ アーデルハイト
 6ページ〜7ページ 精霊指定都市イナテミス
 8ページ〜9ページ 初撃・ザンスカール上空戦
 10ページ ナベリウス
 11ページ〜12ページ ナベリウス軍との戦闘
 13ページ アムドゥスキアス軍との戦闘
 14ページ アムドゥスキアス
 15ページ 戦闘の収束

 16ページ 西カナン
 17ページ〜20ページ 南カナン攻防戦〜東カナン軍
 21ページ〜23ページ 南カナン攻防戦〜南カナン軍

 24ページ〜27ページ 神聖都キシュ・イナンナ

 28ページ〜30ページ ロノウェと契約者たち
 31ページ〜33ページ バルバトス来襲
 34ページ〜35ページ ロノウェ軍奇襲作戦
 36ページ〜38ページ 窮地に怯まず戦い続けるカナン軍

 39ページ〜45ページ ザナドゥの地に橋頭堡を築く戦い

 46ページ 撤退間際、バルバトス強襲

 47ページ その頃、火口 敦は

 48ページ エピローグ