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創世の絆第二部 第三回

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創世の絆第二部 第三回

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アウタナからの避難1

そのころ、アウタナ周辺からの避難活動では。
大型飛空艇などの大勢が乗れる設備で、
避難民を移動させる作戦が行われていた。

セルマ・アリス(せるま・ありす)
ヴィランビット・ロア(う゛ぃらんびっと・ろあ)の搭乗する
大型飛空艇ロアに、
避難民たちが誘導される。

「ヴィー、ロアの操縦は任せたよ」
セルマは、縄梯子で大型飛空艇ロアに避難民が上がれるようにするほか、
小型飛空艇アルバトロスで輸送作業を行う。
腕力に自信がない人、子どもや女性、お年寄りなどは、
セルマの誘導で、アルバトロスに載せられ、大型飛空艇ロアに上がっていた。

「がんばってね、セルマ」
普段は寝てばかりのヴィランビットだが、
今回ばかりは、大型飛空艇ロアの操縦を任されていた。
地上に着陸すると、
そのまま地中に落ちてしまうかもしれないので、
少し上空で制止して、
たくさん人を乗せたら移動する、という作業を繰り返している。

一方、セルマの結婚相手、
オルフェリア・アリス(おるふぇりあ・ありす)
ミリオン・アインカノック(みりおん・あいんかのっく)
イーグリットのカムパネルラに搭乗し、
黒い獣からセルマたちの大型飛空艇を守っていた。

「オルフェは、誰も置いていかないカムパネルラになるのです!」
そう宣言し、
避難民たちを少しでも安心させるように、オルフェリアは皆を守る。

「セルマや皆には、指一本触れさせません!」
ビームサーベルで黒い獣を薙ぎ払い、
オルフェリアが宣言する。

ミリオンは、そんなパートナーをサブパイロットとしてサポートする。
「オルフェリア様をお守りできることが、我の幸せなのですよ」
アウタナの陥落を、
「おやおや……これはなんとも絶望的な結果が待ちうけてるものですね……」
などと揶揄していたミリオンだったが、
自分にできることを行い、
オルフェリアを助けたいというのが心からの気持ちである。

「ありがとう、オルフェ。無理しないでね!」
「もちろんなのですよ!
でも、オルフェは皆さんを一人にさせないために全力で戦います!」
セルマの言葉に、オルフェリアは、安心させるように答える。
「うん。俺も、自分にできる全力を尽くすよ!」
セルマは頷き、救助活動へと戻っていく。

宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)
宇都宮 義弘(うつのみや・よしひろ)も、
大型飛空艇を用いて、
大人数の救助活動を行っていた。

「よいしょよいしょ、しっかりつかまってねー!」
白蛇型のギフト義弘は、
子どもやお年寄りを背中に載せて大型飛空艇まで運ぶ。

「多少の定員オーバーは気にしないでいきましょう。
重量制限に引っかからなければ、問題なく飛べるでしょうから」
「うん、いっぱい人を載せても僕はマストとかに巻き付いてればいいし……」
祥子に、義弘がうなずく。

「桜井校長。
教導団のイコン部隊もいますしハイナ様も居られます。
無理に残らず離脱してください」

百合園女学院の教育実習生である祥子の呼びかけに、
自分をモデルとしたイコンSHIZUKAに搭乗している桜井 静香(さくらい・しずか)がうなずく。
「うん、もちろんその時はそのつもりだよ!
祥子さんも皆を守るためにも無理しないでね」

そうしていると、黒い獣の群れが、飛来してくる。
「皆を守らないと!」
静香がSHIZUKAを前進させようとした、その時。

「ハイパーランサー! 防衛に出撃します! キシャー!!」
ロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)
メリッサ・マルシアーノ(めりっさ・まるしあーの)の搭乗する
SHIZUKAが突撃する。

荷物や動けない人を大型飛空艇などに載せる作業を手伝っていたロザリンドだが、
敵の襲撃に、【ハイパーランサー】としての真価を発揮していた。

「この超SHIZUKA様スペシャルに敵などありません!」
ロザリンドがSHIZUKAのスピアを振り回し、黒い獣を振り払う。

「百合園女学院の桜井静香、桜井静香が頑張っています。
世界のために頑張っています。
皆さんどうぞよろしくお願いします」
選挙演説のようなロザリンドの発言に。
「それって意味あるのー?」
パートナーのメリッサが、突っ込みつつもレーダーを確認して、
敵襲に備える。

「な、なんだか恥ずかしいなあ。
ロザリンドさんったら……」
恋人の行動に赤面する静香だが、
一緒に黒い獣の群れと戦う。

「私の超SHIZUKA様スペシャルと、
静香さんの真SHIZUKA様スペシャルがあれば、
百人力です!」
「うん、皆をがんばって守ろうね!」
「桜井静香、桜井静香をどうぞよろしくお願いします!」
「そ、その宣伝はいいから!」

恥ずかしがる静香と、士気高揚するロザリンドを見て、
ラズィーヤ・ヴァイシャリー(らずぃーや・う゛ぁいしゃりー)が満足げに言う。
「わたくしがこのイコンを開発したのは、やはり、間違いではなかったようですわね☆」