空京

校長室

【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆

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【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆
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リアクション


現状打破 1

 清泉 北都(いずみ・ほくと)はイーダフェルトを守るべく戦っていた。
 その戦場にいるのは人型の光の怪物たちである。怪物を仕留めるべく、北都はイコンルドュテに乗る。
 その傍らでサブパイロットを務めるのはクナイ・アヤシ(くない・あやし)だ。彼はメインの攻撃を担当する北都のために、敵情報を索敵、それを彼のコクピットに逐一送るという役目を果たしていた。おかげで、北都は敵の位置情報を知ることが出来る。
 高速機動で移動したルドュテは、そのままの勢いで次々と怪物を切り倒していった。
 その手に握られるのは、ソウルブレードだ。黒い輝きを放つレイピア状の剣が、宙に漆黒の線を描いていた。
「うーん、こんなとこかな……。それにしても、敵の数が多くなってきたね」
 北都はモニタを見ながらのんびりと言った。
 彼の特徴なのだが、どんな時でも緊張感がなさそうに見える。しかし、それは本心の裏返しだ。決して彼は緊張をほどいているわけではない。むしろ、目線は常に敵の位置に送られていて、その反応を素早くキャッチしていた。
「どうしますか? 北都。プラヴァーの牽制にも限界がありますが」
 クナイが言った。彼のいうプラヴァーとは部下イコンたちのことを指していた。
 北都の下につく部下たちは、彼らの指示に従って動く。敵の誘導と牽制を担当していたが、それにしても数が足りなくなってきた。
 と、その時である。一本の発光する剣線が宙に走ったのは――
「あれは……!」
 北都は、その姿に見覚えがあった。
 剣線を走らせたのは、一人の獣人であった。その獣人は全身を白い衣服で纏い、白き仮面をつけている。その表情は伺い知れないが、尾骨から飛び出た尾は間違いなく狼の獣人のものだ。
 その獣人は、人の身でありながらイコン級の怪物と対等に戦っていた。
 宙を走り、怪物を一刀のもとに斬り伏せる。さらに加速した彼は、刀を振り抜くと、その一閃で複数の怪物を叩き斬った。
「あれは、ファラン……!?」
 北都は獣人の名を呻いた。そして、獣人の試練での事を思い起こしていた。
 ファランは試練の場所にいた、今は亡き獣人の戦士だ。それがなぜここにいるかは、誰にも分からない。もしかすれば、彼と対峙した一人の獣人――黒き耳と尻尾を持つ、あの少年であればその答えは分かり得たのかもしれないが、それはこの瞬間には叶わぬことだ。
 だがいずれにせよ、北都に分かるのは……。
 その獣人が、北都の味方をし、敵を蹴散らしてくれているということである。
「北都、敵の数が減りましたね。これで、こちらのピストルやランチャーの射程範囲内に収まりますよ」
「うん……感謝しなくちゃね……。仲間にはさ」
 北都はそう言って、敵陣に突っ込んでいった。
 ソウルブレードが空を切り、怪物たちが一斉に串刺しになる。貫かれたその身体は一瞬で消え去り、残されるのは光の塵のみ。
 北都は感じた。いまこの世界に、出会いがあって、僕らがいる。それは、僕の答えだ。
 ファランも、クナイも、そして黒い獣人の少年も、全てが――。
「これが、僕らの戦いだよ!」
 北都は心にその祈りを刻みながら、ルドュテの力を振るった。
 全ては、明日のために。
 
「おおう! オメーらうろちょろとうざったいんじゃ!」
「貴様は変わらぬのう。こんな時にすら」
 すっごい強い、ならぬすっごいもふもふしていそうなジャイアントピヨ
 これに乗るはアキラ・セイルーン(あきら・せいるーん)ルシェイメア・フローズン(るしぇいめあ・ふろーずん)
 彼等が北都の援護に入る。
 その外見とは裏腹に、寄ってくる小型の敵を牽制し、動きを抑制している。
「作戦は命大事に一番にだ! それが女王様からの御達しだしな!」
 そう叫びながらジャイアントピヨを操り、敵を寄せ付けないアキラ。
 その視界には、あの巨大な人型が見えていた。
「オメーらうちらの影なんだろ!? だったら本体が諦めてないの勝手に諦めてんじゃねーコノヤローーー!!」
 そう、アキラの言う通りだ。彼ら契約者たちは何も諦めていない。
 絶望もしていない。
 アキラの言葉に、小型の敵の動きが若干鈍る。その様に見えた。
「その隙、頂くわ!」
 白きイコンライネックスに乗った村主 蛇々(すぐり・じゃじゃ)が空を駆ける。
 アール・エンディミオン(あーる・えんでぃみおん)もそのフォローにあたっている。
「落ち着け、見えるものも見えなくなってしまうぞ。まずは右だ。左は他の仲間を信じろ」
「わかったよ!」
 左手の敵には目もくれず、右手にいた敵へと猛進する蛇々。
 そしてその胸へと深々と剣をつきたて、撃破。
 その背後には敵の姿が。
「そうは問屋が卸さないってんだ!」
 それを予見していたアキラの、ジャイントピヨのドージェの鉄拳が炸裂する。
 既存のパイルバンカーを見直し、破壊力のみに重きをおいた武器は敵を粉砕する。
「さて、左手は任せてもらったし。頑張るとしようかなぁ」
 北都は左手の敵を左から右に、下へ、そしてトドメは上から縦横無尽に切りつけ撃墜。
 三人の即席ながらの見事な連携に、敵はどんどん倒されていく。
 だがそれ以上の数が襲ってくる。
「だー次から次へと! 無限残機か! こっちはピヨを休めてぇんだよ!」
「そうじゃのぅ。少し疲れてきているようじゃしな」
「じゃあ下がって、私が時間を稼ぐからっ!」
 そう意気込む蛇々にアールも同意する。
「索敵は任せろ。……俺の意思はおまえと共にある。いつも一緒だ」
「……ありがとう。
 “臆病者の私が、此処まで来て、此処まで成長出来たのよ。
 辛い事もあったけど……悪くなかったわ”。
 だから絶対、世界を産むわ!」
「“この世界で出会いがあって、今僕はここに居る。それが僕の答えだよ”。
 いいや、僕たちの答えかな?」
 前にでた蛇々に続いて北都も前に出る。
「あーあー! オメーらそういうかっこいい台詞、ずるいぞ!
 それにまだいけるってのっ。だから、目一杯までやる!」
 アキラもまた、前に出る。
 六人三組三機、なお撤退の様子も絶望の様子もなし。
 ならばとて、三機は空へと駆けた。仲間を信じてがむしゃらに敵を倒しつづける。
 しかしながら、アキラもかっこいい叫びを咆えていたではないか、
 とは言わないルシュイメアだった。