空京

校長室

【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆

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【蒼空のフロンティア最終回】創空の絆
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リアクション


世界を産むために 3

 一方、別の場所では部隊【雷龍の紋章】が敵の迎撃に当たっている。
 彼らは皆パワードスーツを身に纏い、押し寄せる敵を圧倒的な力でねじ伏せる。
「三船大尉は左を! 僕は右で!」
「了解した! 淋、遅れるなっ!」
「わかりました!」
 トマス・ファーニナル(とます・ふぁーになる)がそう指示飛ばすと、
 歩兵部隊を引き連れた三船 敬一(みふね・けいいち)白河 淋(しらかわ・りん)が自分たちに向かってくる敵を目標として、走る。
 パワードスーツ、アーコントポウライを装着し敵を撃つ二人。
 しかし、彼等の様には戦えない部下たちは敵の多さに圧倒されつつあった。
「怯むな! 攻撃しまくれ!」
 恐怖に飲み込まれそうになる兵たちを敬一が一喝する。
 その一喝によりどうにか攻撃を開始する部下たち。
「これが最後、泣いても笑ってもこれっきり……私は行きたい。
 三船さんと、仲間たちと、まだ見ぬ新しい世界に!
 だから三船さん、援護は任せて! 貴方はいつもの様に突っ走って!」
「無論、そのつもりだ!
 総員、邀撃戦用意。奴らに装甲歩兵の威力を見せつけてやれ!」
 特攻する敬一を淋が全力でフォローする。阿吽の呼吸は敵の数を減らしていく。
 それ以上に沸いて出てくるのが、何よりも辛い。
「やれやれ、この装備で敵を殴ることもそうありませんが、ねえ」
 魯粛 子敬(ろしゅく・しけい)がそう呟くと、トーマスが苦笑しながら答えた。
「そう言わずに。イーダフェルト内部ではパワードスーツが一番。
 それにここは最も敵が多い。
 後方にいるカルカー大尉たちに迷惑かけないためにも、僕たちが奮起しなければ」
 トマスの言う通り、この場所が一番敵が出現してくる。
 そこを直に、パワードスーツと兵士の数でねじ伏せる。
 そういう作戦だったのだ。多少の撃ち漏らしは、仲間に任せる。
「しかし、気持ちの上では撃ち漏らしなど、ありえない!」
「それには同意ですね」
 トマスと子敬、二人のシュバルツカッツは敵を殴り倒し、弾幕を部下たちにはらせる。
 しかし次第に弾幕が薄くなる。
「もう、だめだよ……勝てっこ、ないんだっ」
「帰らせてくれ! もうここから逃げさせてくれ!」
 部下たちはあまりの恐怖から、攻撃を止めてしまう。
 連鎖するように部下たちは攻撃をやめて、目の前の事から目を背けて逃げようとする。
 だが、周りはもう敵だらけ。逃げ場などなかった。
 当然、怪物が部下たちを襲う。
 それを、敬一と淋が助ける。
「あ、ありがとうございます。……でも、助けてもらってももう戦えない。
 どうせ待っているの悲しい結果だけですよ……」
「……
“確かに世界は悲劇に満ちているかもしれない。
 でもね、そんな世界でも光り輝く眩いものっていうのはあるんだよ?
 きっと、この先にだって輝いた素晴らしい物が待ってるよ。それを見に行こうよ”」
「“諦めるのは結構だが、もう一歩足を踏み出してみろよ? 案外上手く行くもんだぜ?”」
 淋と敬一の優しい言葉に兵士たちは呆然とする。
 刹那、前方からトマスたちの叫びも聞こえてくる。
「何事も、どんなことも……
 “どんな味かは食わねばワカラン!”」
「“『おまえら』にとっては、世界がくだらないものだという。
 だからなんだ? 僕たちにとってはそうじゃない!”」
 四人の言葉を恐怖に心を支配されていた兵士たちの心を解放すると共に、
 目の前の敵を威圧し、または優しく迎えようとしていた。
 兵士たちの心にはまだ恐怖がある。それでも彼らはもう一度武器を取った。
 そして、二度と攻撃をやめることはしなかった。

『こちらの敵は殲滅した。だけど、何体か取り逃した、警戒してくれ』
「了解。祈りの邪魔は絶対にさせないよ」
 トマスから無線連絡を受けたカル・カルカー(かる・かるかー)
 彼はジョン・オーク(じょん・おーく)と共にナハトエンゲルというパワードスーツを着込み、儀式場の防衛を担当していた。
「さて、敵はこちらにくるでしょうか」
 情報の整理、解析をしていたジョンがカルに話しかける。
「わからない。だけど何があっても絶対守るよ。
 ……僕だって少しは強くなった。だかれこれも、『出来ること』になったと思うんだ」
 カルは準備が上手くことを祈りつつ、自分の成長を確かめていた。