空京

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創世の絆第二部 第二回

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創世の絆第二部 第二回

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■激闘! ドージェチームVS山葉チーム・3

1回裏

山葉チームの攻撃。

ピッチャーはドージェであった。

瓜生 コウ(うりゅう・こう)は、単身、
アルマイン・マギウスのダーク・ヤングに乗り込み、
ドージェを迎え撃たんとする。

「かつて、オレ達は、
イルミンスール・ユグドラーズとしてドージェに野球で挑もうとし、果たせなかった。
その雪辱を、今、晴らして見せる!」
しかし、ただの野球ではドージェに勝てないと考えたコウは、
イコンを使うことを決めたのだ。
「オレたちゃイコンがユニフォーム!」
マジックカノンの砲身をバットにして、
ドージェの振りかぶったアルマジロ型ギフトを受ける。
「いま、必殺のオーロラピッチャー返し!」

「……これって……野球なんですかい?」
ガイ・アントゥルース(がい・あんとぅるーす)が、
至極もっともな意見を口にする。

「ラルク、来ますぜ!」
ビール片手に叫んだガイに、
レフトのラルク・アントゥルース(らるく・あんとぅるーす)が、
全力疾走で迎え撃つ。

「うおおおおおおお、イコンくらいなんだあああああああああああああっ!
拳聖のスピードをなめんな!!」

高く跳躍し、場外に抜けようとするアルマジロ型ギフトをキャッチしたラルクは、
そのまま地面に落下し、
衝撃で転がりまわる。

周囲から土煙がなくなったころ、
ラルクのグローブには、アルマジロ型ギフトがあった。

「な、敗れただと!?」
コウが、コックピットからその様子を見てつぶやく。

「1アウトである!」
鳥人型ギフトが宣言する。

「ドージェ、俺とメル友に、な、なろうぜ……」
しかし、ダーク・ヤングの全力ボールに、
ラルクは気絶した。


姫宮 和希(ひめみや・かずき)は、
ドージェに語りかける。

「どうだドージェ。2年前の試合より、俺たちは成長しただろ?
お前を越える為にみんな日夜努力してきたんだぜ。
一人一人は大したこと無いかもしれないが、力を合わせてチームになれば、
お前を倒すことだって、夢物語ってわけでもない所まで来てるだろ」

ドージェを見上げつつ、和希は続ける。
「最近俺は思うんだ。お前はただの破壊の権化じゃなくって、
俺たちを鍛える為の試練なんじゃないかなって」
「……」
「俺はお前にぶっ壊されたパラ実を復興する為に頑張ってきた。
だが、今はそれだけが俺の目的じゃねえ。
シャンバラや地球が危機に晒されるなら、それも救いたい。
お前が力を貸してくれたら百人、いや千人力だぜ。
一緒に力を合わせれば不可能も可能に出来るぜ」
ドージェは小柄な和希を見下ろして、言った。
「そうだな」
言葉少なにうなずくドージェに、
ドージェ自身も楽しんでいるのが、和希には伝わってきた。

「よし、続いて頼むぜ!」
ドージェの背中を、ジャンプしてポン! と叩くと、
和希は自分のポジションに戻っていった。

そのころ、
ガイウス・バーンハート(がいうす・ばーんはーと)は。
マレーナを想う身として、ドージェ復活に複雑な想いがあるが、
ガイウスは何よりもマレーナの想いを大事に思っていた。
(シャンバラ守護・復興のためにドージェが動いてくれれば。
そのためにできることをやるだけだ)

ガイウスは、
競技中、ドージェ暗殺やその他テロ行為が行われない様に警戒をしている。
【パラ実新生徒会会長】である和希より舎弟を借り受け、
根回しや防衛計画を活用して、
観客と警備を兼ねたパラ実生達を会場各所に配備していたのだった。

もちろん、パラ実生達も、いざとなれば乱闘は大歓迎である。
そのため、会場の随所に、体格の良いパラ実生の姿が見られた。


続けて現れたのは、
山葉チーム2番バッターである。

「いくぜ、ドージェ! 正々堂々と勝負だ!」
泉 椿(いずみ・つばき)が、バッターボックスで宣言する。

「フレー、フレー、椿♪」
ミナ・エロマ(みな・えろま)が、
チアガール姿で山葉チームを応援する。
もっとも、ミナはパラ実の皆を応援したいので、
勝負にはこだわっていない。

また、医療チームとして、
いざというとき、ナーシングやアリスキッスで対応する予定であった。

「勝負がついたら、みんなですっぽんスープと乙カレーをいただきましょう♪」
そんな風にミナが応援する中、
椿は親友の和希に宣言する。
「和希、勝負だ! 負けねえぜ!」
「おう! 俺達も、当然、負けないぜ!」
椿と和希は、ニッと笑みを交わした。

「さあ、来い!」
そんな椿に、ドージェは遠慮せずに全力投球する。

凄まじい風が吹いた気がした。

「うおおおおおおおおっ!?」
さすがに、椿は、はね飛ばされる。

「デッドボールである!」

少しかすっただけだが、
鳥人型ギフトが宣言する。

「くっ……」
地面に倒れた椿だが、ガッツで立ち上がる。
「やるな、だが、この程度、まだまだ!
絶対、盗塁してやるぜ!」

こうして、椿はファーストに進塁した。

山葉チーム3番バッターが現れる。
白津 竜造(しらつ・りゅうぞう)であった。
バットは、昂狂剣ブールダルギルである。

「え〜飲み物はいかがですか〜。
氷術でキンッキンに冷えた飲み物はいかがです〜。
今なら火術の応用で温めたホットな飲み物もありますよ〜」
竜造のパートナーの松岡 徹雄(まつおか・てつお)は、
飲み物の売り歩きを行っている。

「売り歩きをしながら野球を眺める。
いやぁ、売り歩きの特権ですな」
徹雄は売り上げのあ半分は主催者に還元するつもりである。

「しかし、いいねえ。
竜造も生き生きしてるじゃないか」
当初は、「ドージェと殺しあえる」と徹雄に聞いたために、
竜造はやってきたのだが、いろいろあって野球に参加していたのだった。

自分の打順が来るまで、
ドージェの観察をしていた竜造は
行動予測を使いつつ、
1球目を見逃す。

豪風が吹き、竜造の頬に傷がつく。

「おもしれえ……!」
竜造はにやりと笑う。

さらに2球目をドージェが振りかぶった瞬間。
「喰らえ!」
金剛力とヴァンダリズムで、
昂狂剣ブールダルギルを竜造は投げつける。

昂狂剣ブールダルギルは折られつつも、
アルマジロ型ギフトにヒットし、
竜造はゴッドスピードで駆け抜ける。

「行っけえええええええええええ!」
さらに、椿が、その隙をついて盗塁する。

かくして、三塁に椿、二塁に竜造となった。


花音・アームルート(かのん・あーむるーと)は、
南 鮪(みなみ・まぐろ)により、
見せパンによるチアをさせられていた。
「ヒャッハァ〜下はこれを穿きな、お前のは俺の取っておきだ」
「はい、鮪さん!
ちょっと恥ずかしいですけど、頑張りますね!」
かくして鮪は花音の使用済みパンティーを回収していた。

「遊戯であらば不利な軍の采配を振るうが一興よな」
織田 信長(おだ・のぶなが)は、
監督として、
山葉チームで采配を振るっていた。

「メガネがドージェに勝負を挑むっちゅうんなら俺も協力したるで!」
日下部 社(くさかべ・やしろ)も、山葉チームの監督として加わる。

「む、監督は二人もいらぬわ!」
ドラグーン・マスケットを発砲して敵チームをビビらすと同時に、
社も威圧する信長だが。
「さっき、ポジション争いするなら2人で出ろ、言うてたやろ?
監督も2人でええやん」
「たしかにな」
「そしたら、4番バッターは寺美と……」
「ヒャッハァー! 俺が出るぜェー!」
鮪もHスネークアヴァターラ・フレイムの変形した、火炎放射器を手に進み出た。


「はぅ〜☆
社から渡されたこの丈夫な段ボールがあれば、
きっと安全ですぅ」
望月 寺美(もちづき・てらみ)は、身体に丈夫な段ボールを巻きつけて言ったのだが。

「あれ、なんだか悪い予感がしますぅ」
鮪の火炎放射器を目にして寺美はつぶやく。

2人のバッターを前にしても、ドージェは気にしないで剛速球を投げるが。

「ヒャッハー!」
火炎放射器をアルマジロ型ギフトに向けて鮪が放射する。
熱さにおびえて、アルマジロ型ギフトが逃げていき、
鮪の目論見通りとなった。
「ホームランだぜェー!」
「おお、さすがやな!
って、寺美ぃ!?」
社は、パートナーを見て叫ぶ。

「きゃああああああ、熱いですぅー!!」
寺美の身体に巻きつけた段ボールにも引火してしまったのだった。

しかし、めげずに、寺美も鮪と一緒に走る。

さらに、
三塁の椿、二塁の竜造が戻ってきて、
合計4点入る。

「どや、メガネ!
俺の作戦は大成功だったやろ!」
「はぅー」
プスプスと着ぐるみから煙をあげている寺美の傍で、
社が山葉に言う。
「まったく、俺はもうメガネじゃないっての。
にしても、作戦っつーか、行き当たりばったりじゃないのか?」
「細かいことは気にすんなや!」
社は山葉の肩をポンポンと叩く。



ドージェチーム4−山葉チーム4

かくして、同点になったのであった。