空京

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創世の絆第二部 第三回

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創世の絆第二部 第三回

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運命の行方

 契約者たちの作戦と、思わぬクイーンの協力により戦艦は無事王宮に突入し、香菜も無事、皆の元に戻った。だが人間らしさに目覚めたクイーンが、受け入れようとした契約者たちの差し伸べた手に触れようとした刹那、ルークに飲み込まれてしまった。彼女自身の意思は生きているようだが、それ以上に“滅びを望むもの”のすさまじい力が自由になろうともがくクイーンをルークの内部に捕えてしまった。王宮からの突入部隊が戻るまで、クイーンは持てる力のすべてを使い、ルークの攻撃を制限し続けるという。メルヴィア率いる戦艦護衛部隊が、クイーンの意思がルークに押さえつけられるのを防ぐべく、ルークにけん制攻撃を続けていた。相互の奇妙な協力関係は今も続いている。
 
 姿を消したウゲンの行方は、杳として知れない。

 研究所地下から発見されたデータチップにあったものは、エンキの残した日記――あるいは覚書――だった。それを解読した結果は、以下の通りだった。

『我々がかねてから進めていた高エネルギー実験は全て失敗に終わった。
 私は、ニビルとアヌンナキに働きかけ、ファーストクイーン様とニルヴァーナの大地を支えるイアペトスを繋ぎ、その強大なエネルギーを運用可能とすることを提案した。
 無論この接続実験は極秘裏の内に行われた。
 ファーストクイーン様を実験的な試みに『使用』するなど表沙汰にはできなかったのだ。
 彼女を偏愛しているニビルも、直々に頼まれ断れなかったようだ。
 だが、それは私たちの予想を超え、恐ろしい結果を招くこととなった。イアペトスは、すでに“滅びを望むもの”に侵されていたのだ。ヤツは、接続されたファーストクイーン様を乗っ取り、そのすべてを支配しようとした。我々はファーストクイーン様の身体が侵される直前、イアペトスとの切り離しに成功した……ファーストクイーン様の命と引き換えに。
 ファーストクイーン様を失った我々は、彼女の記憶のバックアップを元に代替となる意識を造り出した。ファーストクイーン様と深い繋がりを持つ大世界樹には全て分かっていたのだろうが、彼らは沈黙を守ったままだった。
 彼らは我々の愚かさに呆れ果てているのかもしれない。
 もはやニルヴァーナがシャクティ(インテグラル)どもによって滅ぶことは、誰の目にも明らかだ。我々はニルヴァーナを脱出する』

 手記はここでいったん途切れていた。そして判読可能な最後の部分にはこう書き残されていた。

『シャクティ因子を見つけたあの遺跡。そこから持ち帰った遺物を調べていたアヌンナキは『真実を知った』と言っていた。それ以来、奇妙な言動が多くなっている。気をつけて見ておかなくてはいけないかも知れない。

 だが、もっと危険なのはニビルだ。やつの行動や言動は異常としか言いようがない。あいつはファーストクイーン様のお気に入りだった。そして、彼女を深く愛してもいた。ファーストクイーン様を消し去った“滅びを望むもの”が存在し続けていることを許せず、狂ってしまったのだろう。
 恐ろしいことに、ニビルはイアペトスとニルヴァーナの大地が消し飛ぶとしても“滅びを望むもの”を消滅させようとしている。
 己の愛するものを滅ぼした存在の消滅――復讐すること以外、やつの頭にはなくなっているのだ。
 私は、その狂気に支配された頭脳に対し、対抗手段を設けなければいけない……』