空京

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創世の絆第二部 第三回

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創世の絆第二部 第三回

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王宮の戦い 2



「……」
 王宮内部への進行が始まってしばらくが経過していた。
 中心となる本隊は静かに黙々と足を進める。そうできるのは、遊撃に出た多くの契約者達の尽力の結果であるのだが、それはそれとして、ファーストクイーンを要する中央の隊列はどんよりとした空気に包まれていた。
「空気が……重い」
 五百蔵 東雲(いよろい・しののめ)がついに耐え切れずに零した。
 前かがみになってしまいそうなほど、重苦しい空気の原因はファーストクイーンだ。彼女の表情はずっと晴れないでいる。
 それに加えて、吉井 ゲルバッキー(よしい・げるばっきー)も見てわかるぐらいに不機嫌オーラを噴出していた。
 彼がここにこうしているのは不本意なのだろう。その嫌味な視線が時折ファーストクイーンに向かい、そして離れる。そんなのを何度も繰り返している。
 ふん、という鼻息が周囲の皆の耳に届く。
「ファーストクイーン様もラクシュミちゃんも、精一杯頑張ってるじゃないですか! 私達も頑張りますし、皆も頑張ってます。きっとだいじょーぶです!」
 マティエ・エニュール(まてぃえ・えにゅーる)が俯きがちなファーストクイーンを見上げるようにして声をかけた。
「……ええ」
 ぎこちない笑みを浮かべて、ファーストクイーンは頷く。
「貴方を必ず王のもとへ届けます、心配はいりません」
 リア・レオニス(りあ・れおにす)が言った。
「貴女は貴女として生まれた。今いる貴女を否定しないでほしい。
貴女のおかげで俺達は未来に希望を繋げているし、感謝している」
 リアはそう続けると、少し次の言葉を練るのに時間かけた。
「名前を思い出せないのなら、呼ぶ時の名前を今つけようか。エルピスというのはどうかな」
 リアの言葉に、ファーストクイーンはわずかに視線をそらした。
「エルピスというのは、ギリシア語で希望という意味だったな」
 ザイン・ミネラウバ(ざいん・みねらうば)が言う。
「余計なお世話だとは思うが」
 上杉 三郎景虎(うえすぎ・さぶろうかげとら)はそう切り出した。
「恐れを抱く事は悪い事ではないが、そこから先へ行けないようでは、それはただの『恐怖』だ。手段があり、機会があると言うなら、
その恐れを抱えながら進めばいい。恐れは慎重に代わり、よりよい道を指し示すだろう。だが此処で立ち竦むようでは、誰も、何も、救えはしない。生まれなどに意味は無い。真の女王と成り得るか、全ては己自身だ」
 あとは自分で考えろ、とでも言うように三郎景虎は前を向いて歩いた。
「……それでも、私は」
「それでも……オレ達が、貴方がここまで来れたのは、貴方自身が選んで、行動してくれたからだよねぇ?」
 曖浜 瑠樹(あいはま・りゅうき)はファーストクイーンの方を見ず、彼女が顔をあげるのを待って、にっと笑って見せた。
「オレ達は、貴方と一緒に戦ってきたんだ。これからも、そうなんだ。その事に嘘も間違いも無い、そうだよねぇ? それでも、自分がわからないなら、名前を……」
 瑠樹はちらりとリアに視線を向け、それから今度はファーストクイーンの全身を眺めた。
「オレとしては、サラスヴァティ……サラさんとかどうかねぇ?」
「いや、ちょっと待て、何で一度俺を見た?」
 リアが瑠樹に尋ねる。
「別に。けど、オレならサラの方がいいなぁと思ってねぇ」
「いや、エルピスだな」
 にらみ合う二人。
「ここは」
「そうだな、決めるべきは本人だ」
 二人はファーストクイーンを見る。真剣な表情だ。
「サラ、ですよねぇ?」
「エルピスだよな?」
 あまりに鬼気迫る様子に、ファーストクイーンは度肝を抜かれ、それから思わず笑みを零した。
「ふふ、そうですか」
「おい、真面目な話をしてるんだ。変顔なんかしてんじゃない」
「オレは真面目だよ。そっちが面白フェイスをしてるんじゃないかなぁ」
「なんだと!」
「まぁまぁ」
 ザインが間に割って入った。主にリアを捕まえて引き剥がす。
「ふふふ、名前、考えてもいませんでした」
 ファーストクイーンは二人にそれぞれ小さく頭を下げた。
「ありがとうございます。私なんかを気にかけて頂いて、嬉しく思います」
 暗くどんよりして表情は消え、ファーストクイーンには穏やかな笑みが浮かんでいた。それを見て、リアと瑠樹はそれぞれ視線を交わした。
 全体に重しとなってのしかかっていた重たい空気も、すっかりと消えうせている。
(くだらない)
 ただ一人、ゲルバッキーを除いて、ではあるが。
「……」
 東雲はあからさまに不快感を示すゲルバッキーに、視線を向けていた。
「一体何がそんなに気に食わないんだろう?」
「どうかしたか?」
 三郎景虎の問いに、小さく首を振って答えて、もう一度ゲルバッキーを見る。目は会わない。彼の不機嫌そうな視線は、ファーストクイーンに向けられていた。



 吹き抜けの天井に、二段に別れた広く大きな空間は、かつては憩いの場として利用されていたように思える。外からは見えなかった窓があり、そこからは今まで見てきたものとは違う景色が映し出されていた。草原があり風が吹いていて、花の咲く丘のような映像だ。
 今その映像には数多くの銃痕が突き刺さり、肉片や血しぶきによって汚く汚れている。そしてそれは、現在進行形でどんどん増えていった。
「囮冥利に尽きるな」
 ギュンター・ビュッヘル(ぎゅんたー・びゅっへる)は苦笑する。
 彼が先ほど通ってきた通路は、まるで工場で焼かれたパイが出てくるベルトコンベアのようにイレイザー達を吐き出している。
 呆れるほどの物量だ、悪夢のようですらある。
「これ以上、敵を探しにいく必要はなさそうだな」
 サミュエル・ユンク(さみゅえる・ゆんく)も成果を喜ぶというよりは、呆れた様子だ。数の利は向こうにある、そう頭に叩き込んでいたが、もはや利を通り越して暴力である。
「狙いを定めなくても敵に当たるってのは、新兵にはいい訓練になるか」
「その前に、萎縮するだろ」
 電撃が銃弾が、次々とイレイザーに直撃していく。正面の敵が避けても、後ろのは反応できずに直撃なんて光景が繰り広げられていた。
 撃墜ごとに星がもらえるのなら、ここに集まった物は天の川でも何でも作れそうだ。
 その中でも、中心となりそうなのが、あの敵の海に飛び込み暴れまわるベルリヒンゲンケーニッヒ・ファウスト(けーにっひ・ふぁうすと)のパワードスーツ隊だ。
 この辺りが血肉で汚く汚れている原因でもある。
 圧倒的なパワーで暴れまわる姿は頼もしいものがあった。多くが悪夢のような光景でも、戦意を失わないでいられたのは彼らの活躍あってこそだ。
 だが、その状況にヒビが入る。パワードスーツ小隊の一機が、引きずり倒され敵の山の中に飲み込まれたのだ。
「うおおお」
 ケーニッヒがその山に飛び掛り、パワードスーツを中から引きずり出す。搭乗員の生命反応はあるが、細かく調査しなくてもそれがもはや自力で動く状態ではないのだと判断できてしまう。
「一機やられた」
「自力で戻れる? 無理ならこちらから」
 野部 美悠(のべ・みゆう)が通信を返す。後方には、{ICN0004040#パワードスーツ輸送車両}が控えている。
「いや、この破損状況は応急処置程度ではどうにもならん。搭乗員も反応が無い。運び出したいが」
「わかった、相談してくる」
 美悠が最後まで言わせずに対応に動く。
 自力で動けないパワードスーツは、数人の衛生兵で引きずって運ぶなどできない。動けるパワードスーツで運び出さなければならないが、ここでケーニッヒが敵中から下がれば、拮抗していた戦線が崩れる懸念すらあった。
 そうしている間にも、敵が今度はケーニッヒを引きずり倒そうと殺到してくる。
「八時の方向に二歩、動け!」
 クレーメック・ジーベック(くれーめっく・じーべっく)から怒号のような通信が入る。理由を問いただすよりも早く、身体が反応し八時の方向に二歩、この二歩はパワードスーツの訓練で身体に叩き込んだ歩幅を、正確に刻んだ。
 次の瞬間、そこを強烈なエネルギーが通り過ぎていき、殺到していた敵が吹き飛んだ。エネルギーは地面をえぐり、外壁に直撃する。
「これは……」
 振り返る間もなく、今度は羽音が頭上を通り過ぎた。
 王騎竜『ア・ドライグ・グラス』に立つグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)は、そこから跳躍。すると手にしていたフェニックスアヴァターラ・ブレイドが巨大な剣となり、まだ残るイレイザー達を纏めて吹き飛ばした。
「急げ! どうやら長くは持たん!」
 今吹き飛ばし、切り捨てた数は相当なものだったが、それでも無尽蔵にやってくるイレイザーの群れに途切れるという言葉は無いようだった。
「起動に少し時間がかかったけど、これだけ相手にさせてもらえるのなら、十分よ」
 ローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)が操るアウトライダーが一歩事に轟音を響かせながら前に出る。その後ろには、さらに同型と思われるイコンが二機。
「超電磁ネットで入り口を塞いでやりたいところだけど、そしたら囮の役目が果たせない、か」
 相変わらず、いくつかの通路から次々と新戦力が投入されていく。
 一時的に押した敵の壁も、すぐに元通りになってしまいそうだ。
 この隙に、ケーニッヒは仲間を引きずって後方に送り、さらに自分のパワードスーツの応急修理と弾薬の補充を行った。
「よかった、これなら救済の聖域の効果で十分な範囲よ」
 島津 ヴァルナ(しまづ・う゛ぁるな)がパワードスーツから引きずりだされた搭乗員の怪我の具合を見て息をつく。
「こちらは、もう使い物にならんな」
 クレーメックは破壊されたパワードスーツを見てそう判断する。
「撤退の指示を仰ぐか考えてましたが、杞憂でしたな」
「必要ならその指示は出すが、まだ堪えられる。そうだな」
「人使いの荒い人だ」
 ケーニッヒのパワードスーツが再度出撃する。

 ローザマリアのイコンが暴れ、パワードスーツが敵を引き千切る戦場とは別の通路で、ヤジロ アイリ(やじろ・あいり)は弓を引き絞っていた。
「こっちに行かれると困るんだよ」
 彼女の背後では、まさに今ファーストクイーンやラクシュミ達を抱えた本隊が進軍を進めている最中だ。進軍に使う大通りに繋がる支流から、横っ腹に攻撃を受けないために出向いた先で見事に当たりを引いてしまったのである。
 敵の数は二体だが、取り込んだ機晶ロボットはその倍はあるだろう。不恰好ではあるが、大きさと威圧感は相当なものだ。
 近づかれる前に、矢が放たれて一体に深々と突き刺さる。電撃を帯びた弓は機械と相性がとてもよかったらしく、痙攣したあと動きが止まった。
 次の矢を撃つ合間に、残りの一体のイレイザーが駆け寄る。その大きさからは信じられない機敏さで、矢をつぐのは間に合わない。
「アイリの攻撃は誰にも邪魔させませんよー」
 間に滑らかに滑り込んだセス・テヴァン(せす・てう゛ぁん)が、光の刃で機械でない部分を切る。刃はするすると通り、イレイザーの左腕がだらりと垂れ下がった。
 イレイザーは標的をセスに切り替えるが、この時には既に矢が放たれたあとだった。電撃が先ほどの一体と同じように行動力を奪う。
 セスは敵が沈黙するとにっこり笑って振り返った。
「私が守るからにはアイリに怪我なんてさせませんよ!」
「あ、おい、馬鹿!」
 アイリの目には、イレイザーが機晶ロボットを今まさに脱ぎ捨てようとしているのがはっきりと見えていた。不定形の肉の塊のような物体が飛び出し、そのまま背中を向けているセスに襲い掛かる。
 気配をなんとか感じ取って、セスは防御姿勢をとった。強烈な打撃が彼を遅い、通路の壁に叩きつけられる。
 アイリは弓を構える。
「凍りなさい」
 敵にさらに背後から声、それと同時にイレイザーは動きを止めた。ひんやりと冷たい空気が頬を撫でていく。
「スポーン本体を破壊しない限り、いくらでも増援は可能という推測は正しいかったようですね」
 氷術を放ったコンラート・シュタイン(こんらーと・しゅたいん)は、アイリからは見えない誰かに話しかけた。
「厄介ですわね。あの乱戦ではそこまでする余裕はありませんもの」
「とにかくここのは仕上げをしときましょう」
 火術によってイレイザーが完全に燃え尽きるまで火を通すと、壁が取り払われエミリア・ヴィーナ(えみりあ・う゛ぃーな)とアイリらが顔を合わせた。
「協力感謝します。私達はこれで」
「あ、ああ」
 エミリアら二人は手早くそれだけ言うと、忙しそうに走っていってしまった。
「なんだったんだ?」
 アイリは半眼で彼女達が走っていった先を見つめ、それから壁に両手を広げて抱きついているセスを叩き起こした。



「わ、すごい、これ見て!」
 布袋 佳奈子(ほてい・かなこ)の持つダウジングロッドが開くどころかぐるんぐるん回転していた。
「なななだって負けないよ」
 金元 ななな(かねもと・ななな)のアホ毛もまるでヘリコプターのプロペラのようにぐるんぐるんと回転し始めた。
「え、なにこれ? ここが金属製だから?」
 エレノア・グランクルス(えれのあ・ぐらんくるす)はこの光景を見て、混乱している。
「すごい、すごい力を感じるよ」
「凄すぎて反応がきまくり!」
 二人は二人の間ではちゃんと通じ合っているようだ。エレノアは取り残されたような、同属ではない扱いにほっとするような、複雑な感情を覚える。
 そんな二人のダウジングロッドが、なななのアホ毛が果たしてそうなのかはともかく、ある方向に向いてピタリと止まった。
「いけない!」
 ダウジングロッドが示した方向から流れてきたのは殺気と、無数の武器だ。弾丸のように持ち手のいない武器が飛来してくる。
 殺気を敏感に感じ取った神崎 輝(かんざき・ひかる)が飛来する武器を叩き落す。エレノアも僅かに遅れたが、同じように剣や槍などの武器を打ち払った。だが、数が多く、周囲に居た兵士達の短い悲鳴が耳に届く。
「敵襲?」
「あっちよ」
 レナ・メタファンタジア(れな・めたふぁんたじあ)が敵の居場所を感知し、進む。そこへ第二波が飛来、けが人が増える。
「インテグラルやスポーンのやり口じゃないわ」
 直線の通路を、飛来する武器を打ち払いながら進むと、十字路となった場所の中央で人の姿を見つけた。
「ふむ、困りましたね」
 ファンドラ・ヴァンデス(ふぁんどら・う゛ぁんです)は、神の奇跡によって取り出した多量の武器の中から、幻槍モノケロスを手にとりながら言う。先ほどから攻撃を仕掛けていたのは、彼で間違いなかった。
「あまり戦うのは得意ではないのですが」
「……人間?」
「あの顔は、見覚えがあるな」
 ミハイル・プロッキオ(みはいる・ぷろっきお)はファンドラの顔を注視する。以前、ブラッディ・ディヴァイン潜入していた時に見た顔で間違いない。
「ブラッディ・ディヴァインは壊滅した。今はその名残があるただのモンスターの集団だ。義理立てする理由なんてもう無いはずだぜ?」
「義理立て? 違いますよ、これは利害の一致です」
(気をつけろ、あいつは契約者だ。一人なのは何か理由がある)
 ミハイルは会話をしながら、ミーネ・シリア(みーね・しりあ)に精神感応で声を飛ばす。
(この状況で余裕なのは、理由があるからというわけですね)
 ファンドラは手にした槍を構えるでなく、悠然と仁王立ちして視線だけで自分を囲う相手を牽制していた。この緊張を、自ら解くつもりはさらさらないらしく、動きを待っているのだ。
 ミーネが他の仲間にそれなとなく注意を促し、この緊張がさらに張り詰める。先に動いて出方を見るか、あるいは徹底して敵の動きを見るか。
 緊迫し張り詰めた糸そのものが見えるのではないか、そんな頃になって突然なななと佳奈子が同じ方向を指差して叫んだ。
「「見つけた!」」
 指差された先、天井の陰になっている部分で人影が動いた。潜んでいた事がばれてしまった辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)は、咄嗟に毒蟲の群れを解き放つ。それに乗じて姿は一度眩むが、間合いが遠く、レナのサンダーブラストが毒蟲を一掃する。
「そんな距離じゃ怖くもなんともないよ!」
「今です!」
 沢渡 真言(さわたり・まこと)が一息に間合いを詰め、ファンドラに切りかかる。ファンドラもそれに応戦し、互いの獲物が火花を散らした。
「利害の一致? 滅び以外にも世界をやりなおす方法は沢山あります、ですから、その手段だけは消してさせやしません。私たちは間違えをやり直すことが出来るはずです、生きている限り……!」
「やり直し? 奇妙な事を言いますね!」
 二手、三手、打ち合いをしながらファンドラは力量の差を確実に感じ取った。身体能力を比べあっていては勝ち目が無い。
 何かは策は、視線を滑らす。
「残念ながら、ここまででございます」
 沢渡 隆寛(さわたり・りゅうかん)がやうやうしく一礼する。
 全員が飛び出した時、隆寛は真っ直ぐに刹那に向かった。
「おのれ」
 刹那は即座にしびれ粉を振りまくが、隆寛は構わず突進、懐からさざれ石の短刀を取り出そうとする腕を掴んだ。
「なっ」
 それだけで十分で、あとは続くミハイルやエレノアらが刹那に殺到した。自由に泳がせるとどちらが危険か、という状況判断が刹那への猛攻となった形だ。
「ほんの少し息を止めている間に片付きました」
 そうして、彼の傍らには既に意識を失った刹那が倒れており、ファンドラに次善の策が無い事を知らしめた。
「くそ、わたし一人でも……っ!」
 実力差がある中で視線をそらしてしまったファンドラは、最後まで言葉を紡ぎきることなく、真言によって意識を刈り取られた。
「……これで、本当にブラッディ・ディヴァインもおしまいか」
 スーツの襟を直しながら、ミハイルは息を吐いた。
「彼ら以外が、ここで待ち構えていないというのは、そういう事でしょう。もはや、彼らとインテグラルは意思の疎通ができるとは思えませんからね」
 二人を拘束し、彼らは一息の安息を得た。
「私もダウジング試してみようかしら……いや、さすがにあの状況で二人とも遊んでたりしないわよね?」
 エレノアはなななと佳奈子がハイタッチする様子を眺めながら呟いた。